【むーくんの経緯】
1700g台の低出生体重で生まれる。呼吸苦が続くため検査したところ、心臓の血管が気管に巻きつく「血管輪」による気管の狭窄が判明。生後23日目に血管輪除去手術。気管軟化症が残り、抜管が出来ずに福岡市立こども病院→兵庫県立こども病院に転院。縦隔炎を経て生後半年で気管切開手術。8か月半の入院生活を終えて自宅での生活がスタートしました!
入院日の診察の最後は、耳鼻科でした。
今回むーくんの担当をしてくださる
美しきM先生とは、
患者のむーくんも私も初対面です。
サバサバとした語り口調で、
「なんとか声を出したいよね。
まずはそれを目指して、
そして小学校上がる前までに
抜管まで行けたら…という気持ちで
やっていきましょうね」
と言ってくださいました。
これまでどこの病院にかかっても
聞けなかった前向きな言葉に
涙が出そうになりました。
「小学校に入る前までに」
このタイミングが、
とても重要であることを
先生は理解しておられました。
まだ行政の理解も進んでいなかったため、
普通の小学校に通う、という選択ができるかで
人生が大きく左右されることを
分かってくださっていました。
診察ではむーくんが大嫌いな
鼻からファイバーをして
声帯を見るんだろうなあ
と、全員で覚悟をしていたんですが、
「きょうはしないよー、
あした寝かせてしっかり診るからね」
と言われ、緊張で固まっていたむーくんも
一気に笑顔になりました^^
今回全身麻酔でやることは、
◼︎声帯の状態を診る
◼︎「バルーン」の適応であれば行う
◼︎肉芽等があれば取る可能性あり
この3点です。
バルーンというのは、
風船のようなものを使って
声帯を押し広げるイメージなので、
バルーンが入る隙間もないくらい
ガッチリと声帯が閉じてしまっていたら
この処置が難しい、ということになります。
この処置が適応できれば、
声帯が広がることで
空気が抜けるようになるので、
声が出せるようになる可能性があります。
あわよくば抜管までいける可能性も。
逆にリスクとしては、
声帯が広がりすぎて誤嚥する恐れがあること、
1回のバルーンだけでは
また声帯が狭くなる恐れもあるため、
何回かやる必要があるかも、
とのことでした。
ただ切ったり縫ったりするような
不可逆的なものではないので、
身体への負担も少ないしリスク自体も
少ない処置ということでした。
先生と直接話をして、
前に進める!という期待感が
どんどんと高まっていきました。