進め!ちびっこ気管切開児

気管切開をしているけれど、元気いっぱいの6歳児を追ったブログです。病気や気管切開、病院選びや進路についてなど、過去を振り返りながら記録していきます。

呼吸が出来る、ということ

【むーくんの経緯】

1700g台の低出生体重で生まれる。呼吸苦が続くため検査したところ、心臓の血管が気管に巻きつく「血管輪」による気管の狭窄が判明。生後23日目に血管輪除去手術。気管軟化症が残り、抜管が出来ずに福岡市立こども病院→兵庫県立こども病院に転院。縦隔炎を経て生後半年で気管切開手術。8か月半の入院生活を終えて自宅での生活がスタートしました!

 

 

 

 

ファイバーで声帯を覗き、

声帯がしっかり開いているのを確認した後、

主治医のM先生が、

「じゃ、バルブにマスキングテープ

付けてみようかー?」

とにこやかにおっしゃいました。

 

これまでむーくんはバルブを日常的に使って

お喋りを楽しんでいましたが、

試しにバルブをテープで塞いでみると、

すぐに苦しくなっていました。

つまり声帯を通して息を吐くことは

出来ていたけれど、

酸素を取り込むことが出来ていなかった、

ということです。

 

果たして、軟骨移植手術を終えた今は

どうなるのか…。

緊張の一瞬です。

 

先生がバルブにマスキングテープを貼って

むーくんのカニューレに装着します。

 

10秒…

20秒…

 

むーくんの表情は変わりません。

「苦しくない?」

と聞く私に、むーくん、

「だいじょうぶ」

 

むーくんは当たり前のように

呼吸をしていました。

生まれて初めて、上気道を使って、

「苦しくない呼吸」が出来ていました。

 

やっとここまで来た…

1つの大きな段階をクリアしたことに

グッと胸が熱くなりました。

一緒に話を聞いていた母は、

号泣していました。

 

その後、むーくんはマスキングテープで

バルブを塞いだまま、

診察室をあとにしました。

私は何度も、むーくんに

苦しくないかを確認し、

そして、すごいことだよ!

むーくん、ここまでよく頑張ったね!!

と、たくさん労い、

みんなでこの大きな第一歩を

喜び合いながら、病棟へと戻ったのでした。